税理士試験の簿記論を勉強していると、「どこまで勉強すれば合格できるのか」と疑問に思う人は多いのではないでしょうか。
簿記論は計算量が多く、出題範囲も広い科目です。
そのため「すべての論点を完璧に仕上げないと合格できないのでは」と不安に感じる人も少なくありません。
税理士試験では合格基準点は満点の60%とされています。
ただし実際には試験の難易度によって合格ラインが変わると言われており、各予備校も毎年ボーダーラインを予想しています。
簿記論ではそのボーダーが60点前後になることが多いです。
そのため「どの程度の完成度で合格できるのか」を知りたい人も多いでしょう。
この記事では、簿記論はどこまで勉強すれば合格できるのかを解説します。
合格ラインの目安や合格者の完成度について、実体験をもとに紹介します。
簿記論はどこまで勉強すれば合格できる?
簿記論は範囲が広く、すべての論点を完璧に理解しようとすると終わりが見えなくなります。
しかし実際には、すべての問題を解ける必要はありません。
税理士試験は相対評価と言われてる試験なので、重要なのは「満点を取ること」ではなく合格ラインを超えることです。
そのため簿記論の勉強では、
・難問まで完璧に仕上げる
・すべての問題を解けるようにする
といった勉強よりも、
・基礎論点の精度を上げる
・ミスを減らす
・安定して得点できるようにする
といった完成度のほうが重要になります。
特に簿記論は計算科目のため、ケアレスミスがそのまま失点につながります。
難問を解けるようになることよりも、
「取れる問題を確実に取ること」が合格に直結します。
簿記論の合格ラインは何割くらいなのか
簿記論の完成度を考えるうえで、まず気になるのが合格ラインです。
税理士試験は採点基準が公表されていませんが、毎年各予備校が合格ラインを予想しています。
難易度によって多少の変動はありますが、
各予備校の合格ボーダーライン予想は60点前後になることが多いです。
そのため簿記論の完成度の目安としては、
6割程度の得点が安定して取れるレベル
が一つの基準になります。
もちろん年によって難易度は変わるため、必ずこの点数で合格するとは限りません。
ただし、
・直前対策模試や初見の過去問で60点前後を安定して取れる
という状態であれば、合格可能性は十分にあると言えます。
簿記論は解く問題と解かない問題を決めることも重要
簿記論の本試験は問題量が多く、すべての問題を解こうとすると時間が足りなくなることがあります。
そのため実際の試験では、
「解く問題」と「解かない問題」を判断すること
も重要になります。
私の場合、本試験では次のような方針で問題に取り組んでいました。
法人税額は基本的に解かない
簿記論の問題では、法人税額を計算させる問題が出ることがあります。
しかし法人税額の計算は、
・途中の計算がすべて合っていないと正解できない
・部分点が取りにくい
という特徴があります。
そのため私は、法人税額の問題は基本的に解かない方針にしていました。
よほど自信があって満点を取れる場合は別ですが、そうでない場合は無理に解く必要はないと考えています。
税効果は集計だけする
税効果会計については、基本的には集計だけ行うようにしていました。
ただし、
・途中で税効果が関連する問題が解けていない
・計算の前提が崩れている
といった場合は、集計もしないことがあります。
このように、簿記論ではすべての問題を解こうとするのではなく、
得点できる問題を優先すること
が大切です。
直前期の問題の解き方については、こちらの記事でも解説しています。
簿記論の直前期の勉強法|合格者が本試験前にやったことをすべて公開
合格者の完成度は基礎問題の精度が高い
簿記論で合格する人の勉強を見ると、共通しているのは基礎論点の完成度が高いことです。
具体的には、
・基本的な仕訳を確実にできる
・頻出論点の問題はほぼミスしない
・一度解いた問題は確実に解ける
という状態になっています。
逆に、不合格になる人に多いのが、
・難しい問題ばかり解いている
・基礎論点でミスが多い
・問題演習の精度が低い
といったケースです。
簿記論は問題演習の量も重要ですが、それ以上に精度が重要になります。
私の場合も、解いた問題についてはできるだけ
「ほぼ確実に解ける」状態
まで仕上げるようにしていました。
復習の仕方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
社会人の簿財|勉強時間が足りない人のための復習戦略
私が簿記論に合格したときの完成度(実体験)
ここからは、私が実際に簿記論に合格したときの完成度について書いていきます。
2025年第75回の本試験の自己採点は65点でした。
体感としては「難しめの年」という印象です。
ただし、本試験ではすべての問題を解いたわけではありません。
法人税額や税効果以外は試験問題を見て決めていました。
本試験で曖昧だった論点
合格した年でも、すべての論点が完璧だったわけではありません。
実際に曖昧だった論点としては、
・事業分離
・企業結合
・貸し手のリース取引
などがありました。
特に貸し手のリース取引は、仕訳の方法が複数あるため処理の仕方が少し曖昧な部分がありました。
それでも本試験では、
解ける問題はだいたい取れている感覚
がありました。
この「取れる問題を落とさない」という状態が、簿記論ではとても重要だと思います。
模試を受けなくても合格可能性は判断できる
税理士試験では、多くの人が予備校の模試を受けて合格可能性を判断します。
ただ、必ずしも模試を受けなければ実力がわからないわけではありません。
私の場合、模試は受けていませんでした。
その代わりに行っていたのが、過去問を使った実力チェックです。
具体的には、
・初見の本試験の過去問を6〜7月までいくつか残しておく
・その年の合格予想ボーダーと比較する
という方法です。
例えば、初見で過去問を解いたときに
・合格予想ボーダーと同じくらい
・または少し上
という点数が取れるのであれば、合格可能性は十分あると判断できます。
逆に大きく下回る場合は、まだ完成度が足りていない可能性があります。
過去問の使い方については、こちらの記事でも解説しています。
簿記論の過去問は何年分必要?合格者が解説
簿記論の完成度が上がったと感じたタイミング
簿記論の完成度が上がったと感じたのは、5〜6月ごろでした。
この頃に過去問を初見で解いてみたところ、
その年の合格予想ボーダー以上の点数を取れるようになりました。
そのときは正直、
「このまま勉強を続ければ余裕で合格できるかもしれない」
と思っていました。
ただ、そこから本試験までの期間で、思ったほど点数は伸びませんでした。
過去問を解いても、
・ボーダーより少し上の点数
といった結果が続き、
「絶対受かる」と思えるレベルまでは上がりませんでした。
そのため本試験直前まで、
・本当に受かるのか
・この完成度で大丈夫なのか
という不安はかなりありました。
それでも、本試験では自己採点で65点を取ることができ、結果的に合格することができました。
この経験から感じたのは、
簿記論は直前期でも不安が残る試験
だということです。
簿記論は模試の成績が良くても落ちることがある
税理士試験は相対評価の試験です。
そのため、模試の成績が良くても必ず合格できるとは限りません。
実際、予備校の模試では
・A判定
・上位成績
でも本試験で落ちる人は普通にいます。
大手予備校の模試でも、上位10%以内に入っていても不合格になるケースは珍しくありません。
これは税理士試験の特徴でもあります。
本試験では、
・問題の相性
・ケアレスミス
・時間配分
・当日のコンディション
など、さまざまな要因で得点が変わります。
そのため模試の判定だけで
「合格できる」
「合格できない」
と決めつけることはできません。
簿記論で合格する人の完成度
ここまでの内容をまとめると、簿記論で合格する人の完成度は次のようなイメージです。
・基礎論点はほぼ確実に解ける
・取れる問題を落とさない
・ケアレスミスが少ない
・6〜7割程度の得点が安定して取れる
逆に、
・難問まで完璧に仕上げる
・すべての問題を解けるようにする
といった完成度は必ずしも必要ではありません。
簿記論は計算科目なので、
「解ける問題を確実に取る」
という完成度を目指すことが重要です。
簿記論の勉強で意識していたこと
私が簿記論の勉強で特に意識していたのは、ミスを減らすことです。
簿記論ではケアレスミスがそのまま失点につながります。
そのため問題を解いたあとには、
・どこでミスしたのか
・なぜミスしたのか
をメモするようにしていました。
そうすると、だんだん
「ここは自分がミスしやすいところだな」
というポイントがわかってきます。
すると問題を解いているときに、
「ここは普段ミスしやすいところだから気をつけよう」
と意識できるようになります。
こうした小さな積み重ねで、ミスはかなり減らすことができました。
簿記論は講座を使う人も多い
簿記論は範囲が広く、独学で勉強するのが難しい科目でもあります。
特に社会人の場合は、
・勉強時間が限られる
・効率よく勉強したい
という人も多いと思います。
そのため税理士試験を受ける社会人では、通信講座を利用して勉強する人も多いです。
通信講座を使うメリットとしては、
・カリキュラムに沿って勉強できる
・重要論点が整理されている
・勉強のペースを作りやすい
といった点があります。
税理士講座については、こちらの記事でも比較しています。
まとめ:簿記論は初見で6〜7割取れる完成度を目指そう
簿記論は範囲が広く、勉強を続けていると
「どこまでやれば合格できるのか」
がわからなくなることもあります。
しかし実際には、
・満点レベルの完成度
・すべての問題を解けるレベル
まで仕上げる必要はありません。
簿記論の完成度の目安としては、初見の過去問は直前対策模試で
・基礎論点を確実に解ける
・ミスが少ない
・6〜7割の得点が取れる
といった状態を目指すことが大切です。
私自身も本試験では完璧な状態ではありませんでしたが、
自己採点65点で合格することができました。
簿記論は最後まで不安が残りやすい試験ですが、
・取れる問題を確実に取る
・ミスを減らす
という完成度を意識して勉強を続ければ、合格は十分に狙えると思います。
