税理士試験の財務諸表論について調べていると、「合格するにはどれくらい勉強時間が必要なのか」と疑問に思う人は多いのではないでしょうか。
ネットでは「300時間」「500時間」などさまざまな情報がありますが、必要な勉強時間は受験生の状況によって大きく変わります。簿記の知識レベルや勉強方法、仕事との両立状況によっても必要な学習時間は変わるためです。
また、財務諸表論は簿記論と同時に受験する人が多い科目でもあります。計算と理論の両方が出題される科目のため、「どのくらいの勉強時間を見ておけばいいのか」「理論と計算はどのように勉強すればいいのか」と悩む人も多いと思います。
この記事では、財務諸表論の勉強時間の目安や、勉強時間に影響する簿記の前提知識、簿記論と同時に勉強するメリットなどについて解説します。
なお、ここで紹介する勉強時間はあくまで一つの目安です。受験生の状況によって必要な勉強時間は変わるため、参考の一例として読んでいただければと思います。
財務諸表論の勉強時間は650〜900時間が目安
財務諸表論の勉強時間は、一般的に650〜900時間程度が一つの目安と言われています。
税理士試験では簿記論と並んで受験する人が多い科目ですが、簿記論と比べると計算演習の量はやや少なくなる傾向があります。
簿記論は総合問題の計算演習が中心ですが、財務諸表論は理論問題と計算問題の両方が出題される科目です。そのため、理論暗記と計算対策をバランスよく進める必要があります。
理論の暗記量も多いため、決して学習量が少ない科目ではありません。計算と理論の両方をバランスよく進めることが重要になります。
簿記の知識によって勉強時間は変わる
財務諸表論の勉強時間を考えるうえで、簿記の知識レベルは重要なポイントになります。
一般的に、日商簿記2級の合格に必要な勉強時間は200時間程度と言われています。財務諸表論の受験に日商簿記2級は必須ではありませんが、このレベルの知識があると学習を進めやすくなります。
財務諸表論では会計の基本的な考え方や計算問題も出題されるため、簿記の基礎知識があるかどうかによって理解のスピードが変わることがあります。
一方で、簿記の経験が少ない場合は、会計の基本的な仕組みから理解する必要があります。そのため、勉強時間が多くなるケースもあります。
目安としては次のようなイメージです。
簿記未経験者
・900時間以上かかることもある
・会計の基礎から理解する必要がある
日商簿記2級レベル
・650〜900時間程度
・基本的な会計知識がある
日商簿記1級レベル
・300~400時間前後
・計算や会計理論の理解がある
このように、簿記の知識レベルによって必要な勉強時間は変わります。
簿記の前提知識については、こちらの記事でも解説しています。
税理士試験 簿記論・財務諸表論に日商簿記2級は必要?合格者が解説
税理士試験 簿記論・財務諸表論に日商簿記3級は必要?合格者が解説
簿記論と財務諸表論を単体受験する場合の勉強時間と同時受験のメリット
税理士試験では、簿記論と財務諸表論を同時に受験する人が多いですが、ここで紹介している勉強時間はそれぞれの科目を単体で受験する場合の目安です。
一般的な勉強時間の目安としては、
・簿記論:800〜1000時間
・財務諸表論:650〜900時間
程度と言われることが多いです。
ただし、実際の受験生の多くは簿記論と財務諸表論を同時に勉強しています。これは、両科目の学習内容に共通する部分が多いためです。
例えば、計算分野では簿記論の知識がそのまま財務諸表論の計算問題に活かせることがあります。また、会計の基本的な考え方も両科目で共通しているため、同時に学習することで理解が深まりやすくなります。
このような理由から、多くの予備校でも簿記論と財務諸表論を並行して学習するカリキュラムが組まれています。
そのため、同時に勉強する場合は、単体受験の勉強時間を単純に合計するよりも、効率よく学習を進められるケースも多いと言われています。
簿記論の勉強時間については、こちらの記事でも解説しています。
税理士試験 簿記論の勉強時間はどれくらい?社会人合格者のリアル
財務諸表論の理論問題の特徴
財務諸表論は、簿記論と違って理論問題が出題される科目です。
簿記論は計算問題が中心ですが、財務諸表論では会計基準や財務諸表についての理論問題が出題されます。
そのため、計算対策だけでなく理論暗記の対策も必要になります。
理論問題では、会計基準の内容や会計処理の考え方などが問われます。
単純な暗記だけでなく、内容を理解しておくことも重要になります。
また、理論問題は文章で回答する形式になることも多く、一定の記述力も求められます。
そのため、理論暗記だけに時間を使うのではなく、計算問題の対策も含めてバランスよく学習を進めることが重要になります。
財務諸表論は理論と計算のバランスが重要
財務諸表論は、税理士試験の中でも理論と計算の両方が出題される科目です。
簿記論は計算問題が中心ですが、財務諸表論では理論問題も出題されます。そのため、理論暗記と計算演習の両方をバランスよく進める必要があります。
最近の試験傾向としては、計算で高得点を取り、理論で一定の得点を確保して合格するパターンが多いと言われています。
例えば、
・計算:40点以上
・理論:20〜30点
といった得点バランスで合格するケースも多いとされています。
そのため、計算問題の対策もしっかり行いながら、理論暗記も進めていくことが重要になります。
社会人が確保できる勉強時間のリアル
税理士試験は長期戦になることが多く、社会人の場合は仕事との両立も必要です。
そのため、理想的な勉強時間よりも現実的に確保できる勉強時間を考えることが重要になります。
一般的には、
平日
・2〜3時間
休日
・5〜8時間
程度の勉強時間を確保しながら学習を進めるケースが多いです。
税理士試験は短期間で詰め込む試験ではなく、長期間の学習を積み重ねる試験です。
そのため、毎日少しずつでも継続して勉強することが重要になります。
社会人が勉強時間を確保するためにやめた習慣については、こちらの記事でも紹介しています。
社会人が税理士試験の勉強時間を確保するためにやめたこと5つ
社会人受験生の場合は、限られた勉強時間の中で効率よく学習を進めることが重要になります。
通信講座を利用することで、学習の優先順位や勉強の進め方が分かりやすくなることもあります。
税理士試験の通信講座については、こちらの記事で比較しています。
税理士試験 簿記論・財務諸表論の通信講座比較
社会人合格者の勉強時間
ここでは参考として、筆者の勉強時間も簡単に紹介します。
私の場合は、
・簿記論:約800時間
・財務諸表論:約300時間
程度の勉強時間で合格することができました。
簿記論の計算力がある程度完成している状態だったため、財務諸表論の計算対策にはそれほど多くの時間は使っていません。
学習としては講義を中心に進めながら、理論の理解を深めていく形でした。
財務諸表論の問題集については、TACの総合計算問題集 基礎編を1周だけ取り組みました。ただし、すべての問題を重点的に解いたわけではなく、表示や注記など確認しておきたい部分を中心に使っていました。
簿記論の計算がしっかりできる状態であれば、財務諸表論の計算問題にも対応しやすくなるケースもあります。
なお、私の場合は理論の勉強を本格的に始めるタイミングがかなり遅めでした。
講義を見ながら理解を進める形で学習していましたが、理論暗記についてはもう少し早い段階から取り組んでおけばよかったと感じています。
財務諸表論は理論問題の配点も大きいため、これから勉強を始める人は早い段階から理論対策を進めておく方が安心だと思います。
まとめ
財務諸表論の勉強時間は、一般的には650〜900時間程度が目安と言われています。
ただし、必要な勉強時間は
・簿記の知識レベル
・学習環境
・勉強方法
によって大きく変わります。
また、簿記論と同時に勉強する場合は共通する内容も多いため、効率よく学習を進められることもあります。
税理士試験は長期戦の試験ですが、毎日少しずつでも勉強を積み重ねることが合格への近道になります。
これから財務諸表論の勉強を始める人は、ぜひ参考にしてみてください。